有機フッ素化合物(PFAS)と虫歯予防のフッ素は同じなの??

最近、有機フッ素化合物(PFAS)という有害化学物質が問題視されています。

 

PFASは発がん性に加え、ワクチンによる免疫効果を低下させる等の報告もあり、不安に思うお客様からこういった質問を寄せられました。

実際のところ、虫歯予防に使う歯のフッ素は安全なのでしょうか?

有機フッ素と無機フッ素の違い

虫歯予防で歯に塗布するフッ素や歯磨き剤に含まれるフッ素は「無機フッ素化合物」であり、自然界に存在せず人工的に合成された有機フッ素化合物(PFAS)とは全く異なる物質です。

有機フッ素とは

有機フッ素化合物(PFAS)は水や油をはじき、熱に強く、薬品にも強い、光を吸収しないといった独特の性質を持っており、世界中で多くの製品に用いられてきました。

しかし、人体や環境に対して蓄積性があるため、暴露した場合には体内に溜め込まれることになります。

また、泡消火剤などの使用によって土壌が汚染され、それが地下水や河川、海にも連鎖的に汚染するため、魚介類はもちろん、豚や鶏などの動物にも影響を及ぼします。

極端な例としては、北極に生息するホッキョクグマの体内からもPFASが検出されています。

人体に対しての具体的な影響としては、

発がん性、甲状腺の疾患や異常、甲状腺ホルモンや性ホルモンなど環境ホルモンの影響、ワクチンによる免疫効果の低下などが挙げられます。

詳しくは浄水コラムをご覧ください(Click here)

無機フッ素とは

歯科医院で使用されている「フッ素」とは、主にフッ化ナトリウム(NaF)やモノフルオロリン酸ナトリウム(Na2PO3F)などで、水に溶けた時にマイナスイオンになる『無機フッ素化合物』と呼ばれているものです。

これらの無機フッ素化合物は、歯の表面に塗布することで、歯の表面にあるエナメル質(ハイドロキシアパタイト)が酸によって溶け出すことを防ぎ、溶け出したエナメル質を再石灰化(再結晶化)させます。

そして、エナメル質中のカルシウムやリンよりも強固な結合を持つ「フルオロアパタイト」を形成し、虫歯菌の代謝活動や酸産生能力を抑制します。

このように、無機フッ素化合物は、歯科医院で行う虫歯予防のフッ素塗布や自宅で使用する歯磨き粉やマウスウォッシュなどで広く利用されています。

また、水道水にフッ化物を添加する「水道水フッ素添加」も、虫歯予防の効果的な手段として世界の約30カ国で実施されており、WHO(世界保健機関)は、「すべての人々にフッ素化物配合歯磨剤の使用を推奨し、フッ化物配合歯磨剤が世界中にフッ化物を供給する重要なシステムである」と提唱しています。

有機フッ素化合物(PFAS)と虫歯予防のフッ素化合物の違いを表にまとめました。

結 論

有害物質である有機フッ素化合物と虫歯予防の無機フッ素化合物イオンはまったく無関係の別物です。

例えば同じ塩素が使われているものとしてビニール袋と食塩がありますが、塩素が含まれているからといって同じものとは認識しませんよね。

フッ素も同様に、フッ素が含まれているからといっても、虫歯予防のフッ素と有機フッ素化合物(PFAS)はまったくの別物なのです。

体に悪影響を及ぼす有機フッ素化合物とは違い、歯科でのフッ素には有害性はほとんど無く、歯の質を強化する、再石灰化を促進するなど虫歯予防に効果的です。